現在世界中でのヨガ人口は1000万人を超えるといわれています。今後も増え続けるといわれていますが何故こんなに人々が魅了するのか。体を動かすフィジカルな面が強く浸透していますがヨガとは生き方そのもので本来のヨガの目的、効果などを探っていきましょう
ヨガとは何か? 歴史から見ていくと
ヨガの歴史はとても古く哲学も本当に奥深いです。しっかりと理解をするのにとても時間がかかり私もまだまだ学び途中です。海外の有名な先生にティーチャートレーニングなどで数十時間にも及び講義を受けましたがその先生も理解をするのに何十年もかけて来たと言っていました。なのでここでは簡潔にまとめていこうと思います。
歴史と哲学
ヨガとは生き方そのもの。自分と向き合い、客観視して自分をコントロールすることもヨガです
ヨガとは2つのもの結ぶ、繋げるという意味で語源は「ユジュ」から来ており、もともとは農業などで使われた馬を軛に繋ぐということで馬車は肉体を表し馬は思考や器官、車主は本来の自分(真我)で馬を操り車を動かしているのは自分(知性、理性、心)を表します。自分自身の心と身体を結びつけ、それを宇宙と結びつけることであらゆるものとの調和を目指しています。
ウパニシャッド
ヨガの起源は紀元前4000年以上前にインド(インダス文明)似て発祥されそれが後にヒンズー教で発展し、紀元前2500年辺りにヴェーダ(聖典)という書物に知識が記され、1800〜1500年あたりにヴェーダの最後の文献であるウパニシャッドという聖典があります。ウパニシャッドの内容を濃くした聖典の最終章ヴェダンダの非二元論があります。
バカヴァッド・ギーター
カルマヨガ
バカヴァッド・ギーター その他の教え
ヨガスートラ
YOGA SCHITTA VRITTI NIRODHAH ヨガ シッタ ヴルッティ ニローダ
思考の動きを止める事、心の動きをコントールする (第1章ー2)
紀元後200年以降、パタンジャリという聖者がヨガスートラを書き記したとされてますが最近では著者は2〜3人によって書かれたともいわれています。
ヨガスートラはサムキヤ哲学がベースになっており、二元論で世界はプルシャとプラクルティの2つで構成されているという教え。例えば、物質と神、物質と魂を分けて考え、別物と思った時に手放すことで苦から解放される。本来の姿純粋で至福の状態であるプルシャを自覚することにより解放され自由になれる。
プルシャ:純粋的な意識、精神で個の本質的な部分で魂のような形を持たないもの (アートマンと類似)
プラクルティ:物質的な世界を創り出す因子、一つの物事の根源となる大きな宇宙。マインドや思考、身体
そして、ヨガに関する教えがたくさん詰まった経典で的確な手引書でもあります。第1章のヨガの目的からゴールについて、第2章はヨガの練習方法、第3章瞑想について、第4章ヨガを極め瞑想深めた時に至る自由の境地について まとめてあります。
八支則
ヨガスートラにて8つの方法にまとめられたアシュタンガヨガ(ヨガの流派のアシュタンガとは違います)8つの枝からなる練習方法で段階的にまとめられています。日常生活、毎日のヨガの練習、自分自身の意識を総合的に高め繰り返し練習することでサマディ(悟り)に到達できるように体系づけられている方法です
1、YAMA ヤマ 禁戒、道徳律 気をつけること。
- Ahimsa アヒンサ: 非暴力、暴力的な言動を慎む
- Satya サティヤ: 正直、嘘はつかない
- Asteya アステーヤ: 不盗、盗まない
- Brahmacharya ブラフマチャリヤ: 禁欲、規律正しい生活をする
- Aparigraha アパリグラハ: 不貧、不要なものを抱え込まない
1つの誓いを12年守ると様々な結果が現れ、特別な結果が出るといわれています。12年というのは木星が太陽の周りを回る周期でありインドでは学問や技術を習得するのに要する時間で完成する事ができるといわれています。
2、Niyama ニヤマ 勤戒 浄化と学習 するべき事
- Sancha サウチャ: 清浄、清潔を保つ
- Santosha サントーシャ:知足、満足する事
- Tapas タパス:自制、苦行、
- Ishvarapranidhana イーシュヴァラプラニダーナ:献身、自然の摂理の理解、生かされていることに感謝
- Svadhyana スヴァディヤーヤ:自己を学ぶ事
3、Asana アーサナ 座、快適で安定した姿勢
このスートラにおいてアーサナとは現代のダイナミックなポーズとは違い、安定して心地よく心を収めるための瞑想の姿勢のことです。1つの座り方で48分間動かずに座り続ける事が出来たならアーサナシッディ(アーサナを達成した人)と呼ばれます。瞑想にふさわしい座り方は11個あるといわれています
- パドマーサナ 蓮華座
- ヴァドゥラーサナ 英雄座
- スヴァスティカーサナ 吉祥座
- スカーサナ 安楽座
- ダンダーサナ 足を伸ばす座り方
- バリヤンガーサナ 寝転がり膝の上に手を置く
- クラウンジャ ニシャダナン 鳥のようなポーズ
- ハスティ ニシャダナン ゾウが寝ているようなポーズ
- ウシュトラニシャダナン ラクダが寝ているようなポーズ
- サマ サンスターナン 膝を揃えて座る
- ヤテーチャーサナン 自分の自由に座る姿勢
4、Pranayama プラーナヤーマ 調息、呼吸のコントロール、呼吸を整える事
快適に安定した姿勢が確立した時 呼吸の流れが自然に静まりそれがプラーナヤーマです。プラーナとはエネルギー、生命力。アヤーマは整える事。
私達の体に5つのプラーナがあります
- プラーナ : 呼吸 上向きのエネルギー
- アパーナ : 排泄 下向きのエネルギー
- サマーナ : 消化、吸収 廻し流すエネルギー
- ヴァーナ : 循環、巡るエネルギー
- ウダーナ : 逆流、自然の力に逆らう力
5、Pratyahara プラッティヤハーラ 制感、感覚のコントロール、感覚に振り回されない強さ
外側に向けている意識を内側に向ける。アーサナやプラーナヤーマを行うことで彷徨いがちな意識を集中させることにより精神が鎮まりコントロールされ集中が深まると自分の感覚をコントロール出来るようになる。
6、Dharana ダーラナ 集中、疑念
特定の対象に、心をつなぎとめて心を集中すること。そうすることで高いレベルの感覚のコントロールが出来るようになってきます。
7、Dhyana ディヤーナ 瞑想 静慮
プラティヤハーラとダーラナが組み合わさるとその集中の延長線上に無想の状態を作り出し深い瞑想に入る事ができる。心が邪魔されず他の対象に動くことなく、ある程度の時間ダーラナの状態であることをディナーヤといいます。
8、Samadhi サマーディ 三昧、悟り、自己実現
マインドをコントロールする事なく自然に止まっている状態。
瞑想の3ステップ
- ダーラナ (集中) 考えを1つの対象に定め、同じ対象を映す考えを流し続ける。考えが別の対象にそれたら気付いて意志で下の対象に戻ることを繰り返す
- ディヤーナ(瞑想) ダーラナ(集中)を続けている状態がディヤーナ(瞑想)。最初は数分から集中することを目指し48分できると完成といわれています。
- サマーディ(瞑想状態) ディヤーナから瞑想の対象を見極める瞑想までが意志の力で練習する瞑想。
3つのステップで瞑想を練習していくとやがて意志すらない深い瞑想状態に入ります。この時瞑想しようという自由意志も手放している状態となります。それにより瞑想している心のなgれとも一体になり完全にリラックスできるようになります
サマーディは決してゴールではなく、完全な自由カイヴァリヤを目指していきます
ヨガの種類
現代ではヨガというと身体を動かすハタヨガが一般的ですが、本来はハタヨガ以外にも種類があります。紀元前のウパニシャッド(ヴェーダと呼ばれる聖典)ではヨガは心の統一を意味していました。それがやがて広い意味を持ち日本でいう茶道などの道に近い概念として用いられ茶を通じて精神性を高めるのが茶道であるように、様々なヨガの種類を通してニローダハ(心の止滅)に至るようにそのアプローチによって分類されます
ラージャヨガ
ラージャ=王様 という意味で哲学的なヨガを意味します。ヨガ・スートラをベースに八支則によって古典的な瞑想を用いています (2300年前より)
バクティヨガ
バクティ=献身、祈り 宗教的なヨガで信仰への対象への祈りを大切にするヨガ。自分の練習によって神やグル(師匠)に対して捧げる。 (2000〜2500年前より)
カルマヨガ
カルマ=行為、行為の結果、業 バカヴァッド・ギーターをベースにしており、他人のためにするヨガでインドの活動家ガンジーやマザーテレサもカルマヨガ行者といわれています (2300年前)
ジュニャーナヨガ
ジュニューニャ=真理 本当の私とは?といった自己探究、自我を知るという哲学的なヨガです。インドでは最も高く評価されるヨガで賢者や聖者と呼ばれる人たちはジュニャーヨガ行者が多いです。 ラマナ・マハルシなど
マントラヨガ
音のヨガ。聖なる音を繰り返し唱えるインドでは人気のあるヨガのスタイルです
ハタヨガ
ハ=月(陰) タ=太陽(陽) インド以外で最もよく行われている身体や呼吸を使ってアプローチする身体生理的なヨガです。
以下、代表的な流派
アイアンガーヨガ
アライメント重視で決まったシークエンスがあります。正確なポーズを行うためにブロックや、ベルトなどを用いて行います
シバナンダヨガ
創始者 スワミ・シバナンダ 心身のバランス感覚を取り戻すこと。身体を動かす、瞑想、呼吸法などの要素を同等に重視して精神力、呼吸、柔軟性を高めていきます
アシュタンガヨガ
創始者 シュリ・K・パタビチョイス 太陽礼拝をベースに一連の動作を繰り返すフロースタイルのヨガ。呼吸、バンダ(締める)、ドリスティ(目線)なども重要視されスピードが早く流れに乗っている
パワーヨガ
アシュタンガヨガをアメリカ人が考案したスタイル。太陽礼拝(ヴィンヤサ)をベースに筋力トレーニング的な要素を含み体内部の代謝を促しダイエット効果もあります
ホットヨガ ・ ビクラムヨガ
創始者ビクラム・チョーリー 気温38~40度 湿度55~60% の環境(インドの気候)で行われ代謝を高め、免疫細胞の働きを活性化する働きがあります。主に26種類のポーズを行います
この他にもクンダリーニヨガ、クリパルヨガなど様々なたくさんのヨガが現代にはあります。インストラクターによって数千種類のスタイルがあります。最近欧米で流行っているのは筋トレ的な要素も組み込まれたヨガなどなど。 けれども根本的な要素は全く同じです
ヨガをすると
ヨガをすることによって健康を得られるということは周知の事実です。ヨガとは心身を浄化して健康状態を良くし最終段階として自己実現や、一体化することによって悟りを気づく目的としているからです。身体的なことに関してはヨガのポーズを行うと代謝がよくなり血流もスムーズに流れるようになり全身に酸素を送りこれによって体内の毒素も外へ排出されます。メンタル的には心と密接な関係にある呼吸を意識していくことで自律神経も安定して心もコントロール出来るようになっていきます。
コミュニケーション
自分の感情にとらわれず客観的に見る事ができるようになる。自分の見方を変えていくことによって人との関係や社会における自分も冷静に判断する事ができるようになる
美しい身体
体の軸を意識することによって筋肉や関節などの動きを感じ、柔軟で質の良い筋肉作り出す事が出来ます。続けていくことで代謝が上がり毒素を排出することによってみずみずしい素肌を手に入れることもできます。女性ホルモンなどの分泌を促すこともできるので生き生きとしたエネルギーも放つ事ができる。予防医学としても最適で便秘などの内臓系のトラブルにも最良の働きがあります
メンタルバランスの安定
ヨガで自分と向き合う時間を取ることによって、ポーズや呼吸や瞑想から感覚が敏感になりこれまで感じていなかったものを感じ取れるようになってくる。体、心、精神を結びつけ意識的に呼吸や瞑想を行うことで心の揺れ幅をコントロールして本当の自分を見出す事ができる
まずは歴史、哲学、ヨガの種類をまとめてみました。まだまだ深くいろんな要素もあります。次は瞑想、呼吸についてまとめていこうと思います